中小企業診断士試験の1次試験では全7科目を勉強することになりますが、本日はそのうちの1つ、「経営法務」についての概要や効果的な勉強方法、合格レベルに達するまで必要とされる勉強時間の目安、その他試験に有用な情報などを解説いたします。
ちなみに筆者は令和元年度中小企業診断士試験の合格者で、私の経験則も踏まえてお話をさせていただこうと思います。
それでは、一緒に見ていきましょう!
経営法務で問われる内容はどんなこと?
まずは経営法務で問われる内容について、試験実施機関である中小企業診断協会が発行する試験案内を確認していきます。
試験案内中の試験科目設置の目的と内容において、以下の6項目が挙げられています。
また、科目設置の目的の中には「経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。」とあります。「弁護士等の有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識」といわれると、いくらか気持ちに余裕が生まれますよね(笑)
さて、次に学習すべき内容を確認していきます。
経営法務という科目名のとおり、企業経営に関連する法律知識が問われることになります。
◆事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識 |
会社設立や合併、倒産に関する手続きに関する内容が問われます。 |
◆知的財産権に関する知識 |
特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権等の内容が問われます。 |
◆取引関係に関する法務知識 |
契約行為に関する法的知識等が問われます。 |
◆企業活動に関する法律知識 |
民放、会社法、独占禁止法、不正競争防止法、製造物責任法に関する知識が問われます。 |
◆資本市場へのアクセスと手続 |
株式市場の種類(東証一部、二部、マザーズ、ジャスダック)や関連知識、有価証券報告書に関連する知識、社債の発行や株式公開手続きに関することが問われます。 |
企業経営に関連した法律は非常にバラエティーに富んでおり、かつボリュームも多いことがお解り頂けるかと思います。
しかし、これらの知識を完璧に網羅する必要はありません。中小企業診断士試験で求められるレベルはあくまでも、「弁護士等の有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していること」でしたね。
頻出論点をしっかりと抑え、皆が正解する問題で失点しないというスタンスで取り組めば合格ラインに到達できると思います。
また、経営法務に関連した知識が2次試験で問われることはありません。
1次試験で完結する知識であるという点を鑑みたペース配分といったことも、試験攻略のための戦略として意識する必要があるように思います。
経営法務の科目で点数を稼げる人の特徴
では、経営法務で点数が稼げるタイプを分析してみようと思います。
分析の前に、この科目には科目免除制度が設けられており、以下に該当する方はこの科目を免除することが可能です。
以上です。というかひとつだけですね(笑)
そもそも、「弁護士等の有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していること」を目的に科目を設置したわけですから、有資格者は科目免除となるのは当然といえば当然です。
ただ、科目免除に該当する方はごく少数と思われますので、現実的に点数を稼げるタイプを筆者の勝手な主観に基づいて分析していきます。
以上の2タイプです。
商法、会社法関連の知識を保有している方は、その分有利になると思います。
また、この科目で問われる内容については、論理的な思考力というよりは強制的に暗記して詰め込むといった内容が多いように感じますので、そういった意味で暗記作業に得意意識をお持ちの方も有利になるでしょう。
どちらにも該当しない方であっても心配する必要は全くございません。
筆者自身が全く該当しておりませんので(笑)
暗記が苦手な方は、つらいけど我慢して頑張って詰め込んでください。筆者はその方法で乗り切ることができました。
経営法務のオススメの勉強法!
経営法務のオススメの勉強方法ですが、過去問における頻出論点を確実に覚えるようにしてください。
範囲が広いため、すべてを追っていたら膨大な時間をかけることになると思いますが、その方法は試験対策の戦略としてはお勧めできません。
「頻出論点だけは絶対に落とさない!」というスタンスで取り組むことをお勧めします。
頻出論点だけを拾うことで合格ラインに達するのか、と不安に感じられる方もいらっしゃるかと思いますが、少なくとも足切りラインをクリアするレベルに到達することは十分に可能であると思っています。
それを裏付けるかのような出来事が平成30年度試験で発生しています。
どのようなことが起こったかというと、平成30年度試験における経営法務が極端に難化したために足切りの40点に満たない受験生が多数発生したのです。
筆者は平成30年度試験を受験していませんが、過去問の演習を通じて問題には触れており、確かに細かな知識を問う問題が多い年であったという印象を持っています。
そこで、何が行われたかというと受験生全員に8点の加算が行われたのです。
平成30年度の経営法務は全25問で構成されており、1問が4点。かつ8点のプレゼントがあったわけですから、40点を確保するためには25問中8問正解すれば足りたわけです。
そもそも1次試験は多肢択一式試験であり、4つの肢から1つの回答を選択しますので、確率からいえば適当に〇を付けたとしても6問は正解します(笑)
そう考えると、8点のプレゼントがいかに大きなものであったかということをお解り頂けると思います。
このことから、経営法務においての重要なポイントは、皆が解ける問題は確実に解くということだと思っています。
逆に言えば、それ以上の知識を得るための時間は割かないということでもありますし、そもそも詳細な知識は求められていません。
仮に詳細な知識を問う問題が出題されると、皆がコケますので試験主催サイドが助け舟を出してくれます。
基本的な頻出論点に関する知識をしっかりと抑えることに注力して進めることをお勧めいたします。
おっと、得点源として捉えられる方は当然ながら点数を稼ぐ科目として取り組んで下さいね!
経営法務をマスターするのに必要な勉強時間は?
以上を踏まえ、経営法務をマスターするのに必要な勉強時間を検証いたします。
個人差もありますので、あくまでも筆者自身の経験則によるのですが、勉強に費やした時間はおおよそ70時間といったところでしょうか。
1次試験の7科目に費やした総時間は900時間でしたので、あんまり時間を割いた科目とはいえませんね。
というのも、筆者は試験戦略上、60点取れたら満足、ただし40点を下回ることは許されない、というスタンスで経営法務に取り組んでいたからです。
頻出論点を絞り込んで、他の知識について深追いはしませんでした。
診断士試験は科目数が多く範囲も広いため、ある種の割り切りも必要になってくると思います。
経営法務についてのまとめ
今回の記事では、経営法務についての勉強の進め方を取り上げました。
この科目は、暗記作業中心の進め方になると思いますので、暗記が得意な方は点数を稼げるかと思いますが、他の科目もしっかりと学習を進める必要があることをお忘れなく。
2次試験で経営法務に関する知識が出題されることはありませんので、それに見合ったペース配分で取り組むことも試験攻略の上では必要かと思います。
頻出論点を確実に解けるようにしておけば、足切りで退場となることはありません。
皆が解ける問題だけを確実に正解することで、合格ラインに到達できると思います。
戦略的な取り組みを行って、経営法務と診断士試験を攻略してください!
なお、当サイトでは他の科目について解説した記事や効率良く学習を進められる科目順についてまとめた記事なども取りそろえておりますので、ぜひ併せてご覧下さい^^