中小企業診断士試験の1次試験では全7科目を勉強することになりますが、本日はそのうちの1つ、「経済学・経済政策」についての概要や効果的な勉強方法、合格レベルに達するまで必要とされる勉強時間の目安、その他試験に有用な情報などを解説いたします。
ちなみに筆者は令和元年度中小企業診断士試験の合格者で、私の経験則も踏まえてお話をさせていただこうと思います。
それでは、一緒に見ていきましょう!
目次
経済学・経済政策で問われる内容はどんなこと?
まずは経済学・経済政策で問われる内容について、試験実施機関である中小企業診断協会が発行する試験案内を確認していきます。
試験案内中の試験科目設置の目的と内容において、以下の11項目が挙げられています。
以上の11項目です。経済学を履修した経験がある方なら、何となく聞いたことがある内容といえるのではないでしょうか。
また、全く履修した経験が無いという方であっても、経済学の考え方は自身の生活に照らして考えるとイメージしやすい内容が多いと思われます。
一例を挙げてみましょう。
ある商品の価格が下がると、消費者サイドからみるとお得に買えることになりますので、消費量を増やしたいですよね。
その一方で、企業サイドからみると商品の値下げは好ましくないため、供給する量を減らしたい。
価格が上がると全く逆の動きとなり、消費者サイドは消費量を減らし、企業サイドは供給量を増やしたくなります。
この相反する動きをとる消費者サイドと企業サイドの折り合いがついた点で、その商品が販売される価格、供給(あるいは消費)される量が決まります。
このメカニズムが、上記科目内容中の「消費者行動と需要曲線」、「企業行動と供給曲線」で問われる内容です。
どうでしょうか。少なくとも消費者サイドの感覚はイメージしやすいですよね。
価格が下がったらたくさん買いたいし、上がったら買いたい意欲は減退するということです。
また、1ドル=120円から1ドル=100円に変化したら、円の価値は上がったのでしょうか、下がったのでしょうか、という類の問題が、「国際収支と為替相場」で問われる内容です。
この場合、1ドル=120円で交換していたドルが100円で交換できるようになったわけですから、つまり、より少ない円で1ドルと交換できるようになったわけですから、円の価値は上がったのですね。
誰ですか?120円が100円になったから円の価値が下がったと考えた人は(笑)
個人差はあるでしょうが、筆者の主観的な感想としては、経済学・経済政策は学習を進めやすい科目であると思います。
なぜなら、自身の身近なところに学習項目に関連する生きた事例が転がっているからです。
経済学・経済政策の科目で点数を稼げる人の特徴
では、経済学・経済政策で点数が稼げるタイプを分析してみようと思います。
分析の前に、この科目には科目免除制度が設けられており、以下に該当する方はこの科目を免除することが可能です。
以上の4パターンです。
科目免除に該当する方については、より高度な経済学に関する知識をお持ちでしょうから、免除が認められているわけです。
この方々は当然に点数を稼げるであろうと思われます。
ただ、科目免除に該当する方はごく少数と思われますので、現実的な点数を稼げるタイプを筆者の勝手な主観に基づいて分析していきます。
以下の2タイプの方は、点数を稼げるタイプだと思います。
また、好きこそものの上手なれ、といわれるように、純粋に楽しいと思える科目は点数を伸ばす可能性を十分に備えていると思います。
経済学・経済政策のオススメの勉強法!
経済学・経済政策のオススメの勉強方法ですが、記憶ではなく理解に重点を置いて勉強を進めるということに尽きます。
「風が吹けば桶屋が儲かる」ということわざがありますが、経済学の学習を進めるにあたっては結果だけを暗記するのではなく、その結果に至るストーリーをイメージすることが学習効率を高めることに繋がります。
例えば、IS-LM分析というモデルの中で、利子率が下がると国民所得が増加するという結論が導けるのですが、その結論だけを暗記するのではなく、以下のようなストーリーをイメージをします。
- 利子率が下がるとお金が借りやすくなる
- お金を借りて投資したいという需要が高まる
- 実際に投資が増加することで生産量が増加し、需要も増加する
- 結果、国民所得が増加する
↓
↓
↓
上記の例では、イメージを伝えるため前提となる諸々の条件を端折っていますが、筆者は様々な理論の学習を進めるにあたり、概ね上記の例のようなストーリーをイメージしながら学習を進めていました。
なお、診断士試験全体を通じた戦略において経済学・経済政策という科目は、実はあんまり力を入れるべき科目でないことも事実です。
というのも、診断士試験の本丸である2次記述式試験において、経済学・経済政策の知識が問われることは無いからです。
つまり、1次多肢択一式試験において足切りラインの40点未満という結果は絶対に避けながら、各人の得手不得手に応じて合格ラインの60%に上乗せする点数を稼ぐべき科目と考えるのか、60%周辺の点数で良しとする科目と考えるのか、という違いが生じてきます。
学習を進めながら、自身の感覚で力の入れ加減を見極めてください。
経済学・経済政策をマスターするのに必要な勉強時間は?
以上を踏まえ、経済学・経済政策をマスターするのに必要な勉強時間を検証いたします。
個人差もありますので、あくまでも筆者自身の経験則によるのですが、勉強に費やした時間はおおよそ130時間といったところでしょうか。
1次試験の7科目に費やした総時間は900時間でしたので、割と時間を割いた科目といえるかもしれません。
というのも、筆者は経済学を得意科目と位置づけ、確実に点数を稼ぐ科目と捉えていたからです。
また、過去問の傾向を見ても、受験生の虚を突くような出題が少ない素直な科目という印象を持っていましたので、基本的な知識を確実にした上で、他の科目の不安要素を補うための科目として学習を進めていました。
これは各自まったく違った戦略アプローチがあり得ると思いますので、ご参考までに。
経済学・経済政策についてのまとめ
今回の記事では、経済学・経済政策についての勉強の進め方あれこれについて取り上げました。
この科目の特徴として、暗記重視ではなく理解重視で進めた方が学習効率が高まるという点が挙げられます。
そのような進め方が合う方にとっては、理解が深まり、面白く感じ、更に理解が深まる、といった好循環が生まれるかと思います。
そのような方は是非、得点源科目として点数を稼いでください。
一方、苦手意識を感じられる方は、足切りラインの40%を死守することを念頭に置き、他の科目でリカバリーできそうであれば、そちらの科目で点数を補填するといった戦略もありだと思います。
また、得意とする方、苦手とする方の両者に共通してお伝えしたいのは、経済学・経済政策は2次記述式試験で取り上げられる科目ではありませんので、試験全体の戦略を考えた時に頑張りすぎるのは得策ではないという一面を持った科目でもあるということ。
真のゴールは診断士試験合格です。
そのためにも、経済学・経済政策という科目に対するご自身の最適な戦略を構築し、診断士試験合格を勝ち取っていただきたいと思います。
なお、当サイトでは他の科目について解説した記事や効率良く学習を進められる科目順についてまとめた記事なども取りそろえておりますので、ぜひ併せてご覧下さい^^