中小企業診断士は弁護士や公認会計士などのいくつかの士業と異なり独占業務がないため、「食えない資格」と言われてしまうことがあります。
しかし、中小企業診断士は本当に「食えない資格」なのでしょうか?
今回は中小企業診断士年収の現実と銘打って、企業内診断士と独立診断士の年収差なども交えてお話させていただきたいと思います。
これから診断士を目指される方は年収の目安も気になると思いますので、ぜひ参考にして下さい!
目次
【中小企業診断士の平均年収】現実は500万円!?
中小企業診断士全体の平均年収はおよそ500万円前後と言われていますが、当然この平均値は独立診断士と企業内診断士が入り交じった金額です。
企業内診断士については会社勤めになりますので、高い水準で金額が安定することは想定されますが、その分1,000万以上をたたき出している方は一握りです。
逆に独立診断士だと企業内診断士ほど年収は安定しませんが、年収1,000万円を越えてくるような方も少なくありません。
以下に、中小企業診断協会が出しているアンケート調査の結果を出してみました。
(※コンサルティング業務日数の合計が「100日以上」と回答された方を対象)
年収 | 回答数 | 構成比 |
300万円以内 | 83 | 14.3% |
301~400万円 | 51 | 8.8% |
401~500万円 | 58 | 10.0% |
501~800万円 | 124 | 21.4% |
801~1,000万円 | 66 | 11.4% |
1,001~1,500万円 | 89 | 15.4% |
1,501~2,000万円 | 39 | 6.7% |
2,001~2,500万円 | 25 | 4.3% |
2,501~3,000万円 | 16 | 2.8% |
3,001万円以上 | 28 | 4.8% |
合計 | 579 | 100.0% |
出典:「中小企業診断士活動状況アンケート調査」結果について|中小企業診断士協会
ご覧の通り、501~800万円のボリュームゾーンが一番多いのですが、1,000万円以上稼いでいる方の割合はなんと全体の34%もあるのです。
このデータを見るに、独立診断士で比較すれば年収300万円に満たない方もいれば年間1,000万円以上の年収を稼いでいる人もいて、同じ資格取得者でもかなり格差が大きいと言えるでしょう。
「平均年収約500万円」というこの数字だけでは見えない実態があり、資格保持者それぞれの生活背景等によって異なるものであると考えられます。
同じ独立診断士でも年収に大きな差が生まれるワケ
上記の通り、独立診断士は年収の差はかなり大きいわけですが、その差はなぜ生まれてくるのでしょうか。
考えられる中で大きな違いのひとつとして、普段コンサルタントをしている相手の違いが挙げられるのではないかと考えられます。
中小企業診断士業界で有名な先生方は、かなり大手企業のコンサルタントを実施しています。
コンサルティングを行う対象企業に安定した経営基盤があるため、信頼を得ることができれば中小企業診断士自身も安定的な収入を得ることができるというわけです。
「中小企業」という名前が資格名についているだけに大手企業は対象にしていないように感じられますが、多くの稼いでいる先生方がこのように大手企業との取引によって収入を増やしています。
それに対して、年収があまり高くない中小企業診断士の方々は、全国に置かれているよろず支援拠点などの公的支援機関を介したコンサルティングが多いものと思われます。
ただ、これら公的支援を介したコンサルティングであっても日当として2万円~3万円程度が支払われますので、決して不利な立ち位置というわけではありません。
さらに独立直後は、このようなサービスを活用して経営者からの相談を一つ一つ丁寧に対応することで、これらの窓口業務で得られた人脈が広がり、将来の顧問先企業に出会えることがあるかもしれませんね。
企業内診断士の年収が水準より高い理由は?
一方の企業内診断士については冒頭でもチラッとお話ししたとおり、年収は高い水準で安定しています。
この理由として、以下の2つが考えられます。
- 資格取得前から既に高収入の方が多い
- 資格手当が高額になるケースが多い
それぞれ、もう少し深堀りしてみましょう。
資格取得前から既に高収入の方が多い
中小企業診断士試験は毎年合格率約4%と非常に難関な試験となっており、この難関を潜り抜けるには相当の努力と地頭の良さが必要になってくると思います。
資格を取得される方の内訳として、地頭がよくこれまでも相当努力してこられたようないわゆる高学歴の方が多い傾向にあり、そういった方は元々収入が高いという事実があります。
また、中小企業診断士では学習内容として様々な分野のことを勉強するため、全体を俯瞰して見るべき立場である役職者や管理職の方が取得を目指すケースが多いのも理由になってくるでしょう。
取得を目指す前のベース時点でも高収入の方が多いということですね。
資格手当が高額になるケースが多い
中小企業診断士の資格を取得した場合、資格手当が会社から支給されることも多く、他の資格よりも手当が高額になるケースも少なくありません。
相場としては月に1~3万円、多ければ5万円以上というところもチラホラあるようです。
月に5万円とだけ聞くとそれほど多くは感じないかも知れませんが、1年に換算すると60万円になるので、ボーナス1回分増えたと考えればなかなかの上がり幅になります。
こうして中小企業診断士の資格を取得した場合は資格手当も高額になるケースが多いことも、水準よりも年収が高くなる1つの理由として挙げられるのではないでしょうか。
なお、ダブルライセンスでより多くの資格手当を狙うのも一つの手です。
当サイトでは、中小企業診断士と相性の良い資格についてまとめた記事もご用意してますので、気になる方はぜひチェックしてみて下さい。
中小企業診断士と相性の良い資格はこちらでチェック!
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独立診断士と比較した企業内診断士のメリット・デメリット(給与面)
冒頭でも申し上げた通り、中小企業診断士は一般企業に勤めながら資格を保有している企業内診断士が多いというのが現状です。
ここからは、独立診断士と比較した場合の企業内診断士のメリット・デメリット(給与面)のお話していきたいと思います。
企業内診断士のメリット(給与面)【収入が安定する】
まずメリットの面ですが、企業内診断士には会社というバックボーンがありますので、中小企業診断士としての活動を行わなくても安定した収入が得られます。
中小企業診断士は営業力や人脈などでその収入に大きく差が生まれますが、企業に属しているとある程度の差はつくものの、年収で何百万単位で差が出るということは多くありません。
ちょっと言葉は悪いですが、目立った成果を上げなくてもお給料はある程度高い水準でもらえます。
前項でお話ししたように、資格手当も付与されるところが多いですからね。
しかし、メリットとして挙げられる会社というバックボーンの存在は逆に足かせになってしまうこともあります。
企業内診断士のデメリット(給与面)【頑張っても恩恵を受けにくい】
恐らくこれは企業で働いたことのある多くの方々にお分かりいただける話であるとは思いますが、会社に勤めている以上は副業としての中小企業診断士活動よりも会社の業務が優先されますので、独立診断士と比べれば自由が少ないです。
そもそも副業を禁止としている会社もいまだに多く存在しますので、ある一定ラインまでいくとそこからの飛躍的な収入アップが難しくなってしまいます。
独立診断士は自分が頑張れば頑張った分だけ報酬というかたちで年収も増えていきますが、頑張って成果を出しても給与の恩恵は受けにくいのが企業内診断士のデメリットとして挙げられるでしょう。
なお、中小企業診断士の副業についてまとめた記事もご用意してますので、副業可能な会社にお勤めの方はこちらもご一読ください。
中小企業診断士の副業についてのまとめ記事をチェック!
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企業内診断士のメリット(給与面以外)
- 会社の存在が足かせとなる
- 頑張って成果を出しても給与の恩恵は受けにくい
そんなことを言って終わられたら企業内診断士として資格取得を目指す方はやる気なくなっちゃいますよね(笑)
そこで最後に、企業にお勤めの方が中小企業診断士を取得することによって得られるメリットについて書かせていただきたいと思います。
全部で以下の4つを挙げましたので、順番に見ていきましょう。
- 仕事の視野が広くなる
- 社内外での信頼が増す
- 人脈が増える
- 転職に生かせる
仕事の視野が広くなる
中小企業診断士の資格勉強をする中で、経営全般の知識や企業内での問題に対して解決道筋を建てられる思考能力を得ることができます。
これらを得ることにより、現在業務として担当している分野以外にも広い視野を持って考えることができるようになり、仕事の幅を向上させることができます。
もちろん、それによって給与アップもあり得る話です。
社内外での信頼が増す
独占業務がないと言っても中小企業診断士は難関資格のうちの一つですので、資格保持者は一定以上の知識力や思考力を身に着けているものとみなされることが多いです。
そのため、資格取得をきっかけに社内で新しいプロジェクトのマネージャーになったり、現在の部署内でも昇進して責任のあるポジションを担当したりする人が多いようです。
また、名刺に中小企業診断士と書かれているだけで初対面の顧客からの期待が高くなるなど社外からの評価も高くなります。
とはいえ、当然資格取得だけで業務遂行能力が上がるわけではありませんので、中小企業診断士資格の名に恥じない業務遂行能力を実務で身に着ける必要があることには注意が必要です。(会社で働くなら当たり前の話ですが。。)
人脈が増える
中小企業診断士に合格した後、登録までに実務補習を通じて同じグループで苦労を共にした仲間ができます。
また、中小企業診断協会やその他の支部などの中小企業診断士のネットワークに登録することで、社外の人脈を増やす事ができます。
こういった人脈は当然のことながら仕事に直接役立つこともありますし、将来独立したい方々はこのような人脈を広げていくことで独立後も安定して仕事を得られるようになります。
転職に生かせる
転職を考える場合においても、中小企業診断士資格を持っていることが一歩リードにつながります。
面接を受ける企業の採用担当者から見れば中小企業診断士の資格を保持していることで、一定の知識力や思考力があるものとみなされることも多いでしょう。
さらに、難関資格に挑戦していたこと自体も成長意欲が高い人材として評価を得られる可能性も高くなります。
中小企業診断士は業界問わず活躍の場がありますので、「違う分野に挑戦したい」「現在の職場から更にステップアップしたい」と考えておられる方にとってはもってこいの資格だといえるでしょう。
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まとめ
ここまで中小企業診断士の年収のお話を中心に解説してきました。
「食えない資格」といわれている中小企業診断士ですが、年収面から見てみると全くそんなことはないですし、やりようによっては1,000万円プレイヤーも十分目指せる範囲です。
タイトルにある「企業内診断士と独立した場合の差はどれくらい?」という疑問の解答としては、その人の置かれている状況によって異なるのでハッキリとした答えはないという結論です(笑)
しかし、平均してみるとそこまで両者に差は出ないと思いますので、おおよそ500万円前後の年収が相場かなといった感じです。
- 会社に勤めることで安定的に高水準の年収を得られる企業内診断士
- 頑張れば頑張った分だけ年収が上がる独立診断士
どちらにもそれぞれ魅力がありますし、中小企業診断士はお給料以外の面でも得られるメリットが沢山あります。
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