中小企業診断士試験の1次試験では全7科目を勉強することになりますが、本日はそのうちの1つ、「中小企業経営・政策」についての概要や効果的な勉強方法、合格レベルに達するまで必要とされる勉強時間の目安、その他試験に有用な情報などを解説いたします。
ちなみに筆者は令和元年度中小企業診断士試験の合格者で、私の経験則も踏まえてお話をさせていただこうと思います。
それでは、一緒に見ていきましょう!
目次
中小企業経営・中小企業政策で問われる内容はどんなこと?
まずは中小企業経営・中小企業政策で問われる内容について、試験実施機関である中小企業診断協会が発行する試験案内を確認していきます。
試験案内中の試験科目設置の目的と内容において、以下の3つの項目が挙げられています。
それでは、中小企業経営と中小企業政策について、それぞれもう少し掘り下げて見てみましょう。
中小企業経営で問われる内容は?
中小企業経営では、中小企業の定義や中小企業の役割、位置づけ、経営特性、経営課題に関する問題が各種統計等から出題されます。
例を挙げると、日本国内の全企業に占める中小企業の割合が何%であるかということや、業種別の開業率や廃業率がどれくらいかといったことが問われます。
中小企業庁が毎年発行する中小企業白書に多くの統計情報が掲載されていますので、そちらをご参照いただくことで問われる内容を詳細に把握できるかと思います。
これら統計に関する設問については、社会情勢が反映されているという点を意識しておきましょう。
景気が良いときには開業率は増加傾向、廃業率は減少傾向となりますが、景気が後退してくると開業率は減少傾向、廃業率は増加傾向を辿ります。
また、成長中の業態では会社数は増加傾向となりますが、衰退している業態では会社数は減少傾向となります。
当たり前のことですが、そんな当たり前の感覚を正しく持つことで、勉強の負荷を減らすことができる科目だと思います。
中小企業政策で問われる内容は?
一方の中小企業政策では、中小企業関連法規、中小企業支援のための政策や各種制度の内容について出題されます。
中小企業基本法、小規模企業活性化法、小規模企業振興基本法といった中小企業関連法規の内容や、マル経融資と呼ばれる小規模事業者経営改善資金といった中小企業のための支援制度を学習することになります。
筆者は、この科目で学習する内容こそが、中小企業診断士の実務に直結する内容であるように思います。
中小企業が活用可能な各種支援制度について、その活用をサポートすることで中小企業の発展、成長を支えることになります。
余談になりますが、中小企業診断士という名称中に「中小企業」という文言が追加されているのは、国の支援施策は中小企業を主としたものがほとんどであり、その施策の推進を図るために位置付けられた国家資格だからという話を聞いたことがあります。
企業診断士ではなく、中小企業診断士という名称が付けられたエピソードを強く実感できるような科目内容で構成されているのが、この中小企業政策です。
なお、実務に直結する内容の科目ではありますが、二次記述式試験との関連性は全くありません。
1次試験で完結する知識となりますので、効率的な学習を進めることで、多くの時間を割くことなく合格ラインに到達したい科目です。
中小企業経営・中小企業政策の科目で点数を稼げる人の特徴
では、中小企業経営・中小企業政策で点数が稼げるタイプを分析していきます。
1次試験では一部の科目において他の資格等を保有することによる試験免除制度が設けられていますが、中小企業経営・中小企業政策に関しては科目免除制度が適用されていません。
筆者が考えるこの科目で点数を稼ぎやすいタイプは以下の方々です。
以上の4タイプです。
上記一覧の上から3つ目までのタイプに共通しているのは、お仕事を通じて学習内容に触れる機会が多いと推測される方々である点です。
実際の実務で学習内容に触れる機会がある方はすでにご存じの内容が多いと思いますし、さらに記憶への定着も図りやすいでしょうから、強力なアドバンテージを有しているものと思われます。
また、「経済動向に関するニュースをフォローされている方」については、各種統計情報に関する問題への対応で有利になると思います。
最近の経済動向について、何となく把握しているというレベルで十分ですので、その感覚を利用して統計情報に関する設問で得点を拾っていきましょう。
ちなみに筆者が属するタイプですが、「経済動向に関するニュースをフォローしている」に該当することになろうかと思います。
とはいっても、ガチガチに調べ上げているといったレベルではなく、インターネットを使って経済動向を把握する癖がなんとなく身に付いているといった程度です。
というのも、株式やETFによる資産運用を行っているため、自然と経済動向に敏感になっていったというところでしょうか。
つみたてNISAなどを実際に行いながら、資産形成と経済動向へのアンテナ設置の両立を図るというのもおススメですよ!笑
中小企業経営・中小企業政策のオススメの勉強法!
中小企業経営・中小企業政策のオススメの勉強方法ですが、筆者が思うに中小企業経営と中小企業政策の2つは学習への取り組み方が全く異なります。
というのも、中小企業経営は統計情報からの出題が多く、中小企業政策は法律や制度について問われることになるからです。
実は、筆者はこの科目の学習に取り掛かったのは学習期間の後期で、中小企業経営の統計情報についての学習をほとんど行うことなく本試験に臨みました。
最も遅れて着手した科目で、1次試験実施日の3~4ヶ月前に学習を開始したと思います。
試験までの期間が迫ってきたことを実感する時期でもあり、細かな統計上の数値を暗記するための学習時間なんて確保できるわけがない、という境地に至りました(笑)
そこで、経済動向等に対する自分の感覚を信じて、その場で論理的に考えて回答を導くというスタンスをとることにしました。
また、捻出した時間は中小企業政策で出題される法律や各種制度を覚えるための時間に充てました。
中小企業政策は法律や各種支援制度の内容についての知識が問われますが、こちらは暗記で乗り切ることになります。
ただし、範囲がそれほど広くないために、過去問における頻出論点の洗い出しにそれほど時間を要しませんし、何よりも統計情報を多角的に覚えるよりずっと楽です。
筆者の方法はギャンブルのように思われるかもしれませんが、それなりの戦略、勝機はありました。
というのも、中小企業政策に注力することで、足切りラインである40%に到達することは十分に可能であると考えたからです。
そして正しい感覚をもって中小企業経営の回答が行えたら、60%近くの得点は確保できると考えました。
結果は狙い通りで、60%をやや上回る合格ラインに滑り込むことができました。
皆さんに絶対真似をして欲しいというわけではないですが、割と効率的に学習を進められる勉強方法なので、参考にしていただければと思います。
中小企業経営・中小企業政策をマスターするのに必要な勉強時間は?
以上を踏まえ、中小企業経営・中小企業政策をマスターするのに必要な勉強時間を検証いたします。
筆者自身の勉強に費やした時間はおおよそ50時間です。
1次試験の7科目に費やした総時間は900時間で、最も学習時間が少ない科目でした。
学習開始時期が遅かったこと、統計問題に見切りをつけたことが原因でこのような結果となりました。
いずれにしても、この科目に大半の勉強時間を費やすのは得策とは言えないと思いますので、なるべく少ない時間で済ませるよう計画を組まれることをオススメします。
中小企業経営・中小企業政策についてのまとめ
筆者の場合は、統計に関する学習はほぼ行わず、中小企業政策に関する学習メインで進めました。
診断士試験は科目数が多く、内容も多岐に渡りますので、取り組む内容についての取捨選択も重要な戦略になるかと思います。
もちろん、時間に余裕のある方や得点源になり得ると感じられる方は、得点を稼ぐ科目と位置付けて取り組むのも宜しいかと思いますが、2次試験に関連する科目を優先すべきという視点はお忘れなく。
戦略的かつ効率的に学習を進め、中小企業経営・中小企業政策を攻略しましょう!
なお、当サイトでは他の科目について解説した記事や効率良く学習を進められる科目順についてまとめた記事なども取りそろえておりますので、ぜひ併せてご覧下さい^^