今回の記事では、中小企業診断士試験の独学合格にかかる期間や必要時間などを考察していきたいと思います。
多くの方が資格予備校や通信講座を活用して学習を進めると思いますが、独学で取り組む受験生も一定数存在することでしょう。
今回の記事は、そんな独学で挑もうとするあなたに向けた記事です。
何を隠そう、筆者自身も1次・2次試験ともに独学で合格した一人で、学習期間はおよそ一年間です。
そんな筆者の実体験も交えつつ、中小企業診断士試験への独学での取り組み方、目安とすべき総学習時間、留意すべき点などもご紹介いたします。
独学で学習を進められている方、これから独学で取り組もうとお考えの方はぜひご一読ください!
目次
中小企業診断士の試験制度と押さえておきたい2つのポイント!
はじめに、中小企業診断士の試験制度を確認いたしましょう。
試験は多肢択一形式の1次試験および記述・口述形式の2次試験で構成されます。
1次試験では以下の7科目が出題範囲となります。
1次試験科目
- 経済学・経済政策
- 財務・会計
- 企業経営理論
- 運営管理
- 経営法務
- 経営情報システム
- 中小企業経営・中小企業政策
これらの試験制度上、押さえておきたいポイントが2点あります。
- 科目合格制度
- 2次試験の事例問題で問われる内容
1点目は、1次試験に適用される科目合格制度です。
各科目で60%以上の得点を取得することで、その翌年と翌々年については、申請により当該科目の受験が免除されます。
永久に免除されるわけではなく、2年間だけ免除される点に注意が必要です。
2点目は、2次試験の事例問題で問われる内容です。
事例Ⅰのテーマは「組織・人事」、事例Ⅱは「マーケティング・流通」、事例Ⅲは「生産・技術」、事例Ⅳは「財務・会計」とされますが、これらは1次試験の「企業経営理論」、「運営管理」、「財務・会計」で学ぶ内容となります。
逆に言えば、それ以外の4科目については2次試験との関連がありません。
つまり、学習の中心に据えるべき主要科目は、「企業経営理論」、「運営管理」、「財務・会計」の3科目であるということを認識して取り組むことが、後々に重要となってきます。
中小企業診断士試験の合格率ってどれ位?
続いて、中小企業診断士試験の合格率を確認していきます。
まず1次試験ですが、こちらは多肢択一形式で問われますので、解答が明確に存在します。
また、合格基準も「総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと」とされる絶対基準の試験です。
基準を満たしさえすれば、全員が合格することも起こりえますが、例年20%付近に落ち着きます。
続いて2次記述式試験ですが、こちらは明確な解答が存在しないと言われています。
また、合格基準は1次試験と同様で、「総点数の60%以上であって、かつ1科目でも満点の40%未満のないこと」とされてはいますが、実際は相対評価によって採点が行われていると言われています。
試験最大のヤマ場であり、合格率は例年20%前後に落ち着きます。
最後に受験する2次口述試験ですが、こちらは単なる人物考査と言われており、沈黙さえしなければ全員合格します。
まとめると、1次試験で20%、2次記述試験で20%、2次口述試験で(ほぼ)100%となり、全てを通過した合格率は4%となります。
直近5年分(R6年8月時点)の合格率も一覧にしてみましたのでご覧下さい。
年度 | 1次試験合格率 | 2次試験合格率 | 合計合格率 |
R元年 | 30.2% | 18.3% | 5.5% |
R2年 | 42.5% | 18.4% | 7.8% |
R3年 | 36.4% | 18.3% | 6.7% |
R4年 | 28.9% | 18.7% | 5.4% |
R5年 | 29.6% | 18.9% | 5.6% |
上記の通り、近年は合格率が上昇傾向にありますが、それでも合格率は5~7%程度であるという認識でいておいて下さいね。
なお、過去10年分の合格率をまとめた記事もご用意しておりますので、気になる方は以下よりどうぞ。
中小企業診断士の合格率を過去10年分まとめて分析してみました
中小企業診断士になるために必要な学習時間は?学習期間はどれ位が一般的?
では、約4%という非常に低い合格率を勝ち取るために必要な学習時間とはどれ位なのでしょうか。
一般的には1,000時間程度の学習時間が必要と言われており、個人差はあるでしょうが、筆者の感覚からいってもこれは妥当な数値だと思います。
学習期間を1年間=365日としてみると、1日あたり3時間弱の学習を毎日行うというイメージです。
ちなみに、筆者の総学習時間は1,300時間程度で、学習期間は1年間。平日2~3時間、休日は6~8時間ほどを学習時間に充てる生活を、ほぼ休むことなく1年以上続けました。
一般的に必要とされる1,000時間を超える学習時間を費やしましたが、余裕なんて全くなかったと記憶していますし、常に時間に追われる感覚がありました。
筆者の場合、学習に集中できる環境にあったからこそ、短期間でも学習時間を積み重ねることができ、運よく合格できたのだと思います。
私の具体的なスケジュールなども知りたいという方は以下もどうぞ。
-
【具体的に解説】中小企業診断士独学合格者のスケジュールを公開します!
近年、診断士試験の学習方法についてインターネットで調べていると、「独学でも合格できなくはない。ただし、予備校や通信講座を利用するのが一般的。」といった意見が多く見られます。 確かに、合格後の実務補習で ...
で、一般的なビジネスパーソンが筆者のような環境に身を置けるかというとかなり厳しいのではないでしょうか。
実際、受験生時代の生活を振り返ってみると、自分自身の生活とは思えないような感覚に陥ります(笑)
合格後に知り合った他の合格者をみていると、2~3年で合格するというパターンがボリュームゾーンと感じますし、息切れしない望ましいペース配分であると思います。
まとめると、総学習時間1,000時間をクリアすることが合格水準に達しているか否かのバロメーターと捉えて頂いて差し支えないはずです。
1年間で1,000時間+αをクリアするだけの学習時間が確保できるなら、その環境下で合格することは可能です。
一方で、2~3年という期間で合格する受験生が多いことも事実です。
かなり無理をした筆者からすると、その方が安定したペース配分で学習を進められるようにも思います。
なお、勉強を開始する時期によっても学習計画は変わっていきますので、学習計画についてお悩みの方は以下の記事も参考にしてみてください。
-
【開始時期ごとの勉強方法も解説】中小企業診断士の勉強はいつから始めるのがベスト?
「中小企業診断士の勉強はいつから始めるのがベストなんだろう?」 中小企業診断士の勉強をこれから始めようと考えておられる方の中には、このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。 先に結論を言っ ...
各月ごとにおすすめの学習計画をご紹介しておりますので、今後勉強を進めていく上で色々と参考になることもあるのではないかと思います。
独学者は要注意!試験攻略に重要な2つのポイント!
独学で試験に合格した筆者ですが、振り返ってみると合否を分けるポイントが2つあったように思います。
そのポイントとは以下の2つです。
- 科目の優先順位に合わせた学習時間の配分
- 総学習時間の最大化
順番に解説していきますね。
ポイント①:科目の優先順位に合わせた学習時間の配分
「科目の優先順位に合わせた学習時間の配分」とは、先に説明した2次試験に関連する主要3科目に対して、学習時間を優先的に割くことを意味します。
1次試験は7科目もありますが、2次試験と関連するのは3科目だけです。
確保できる学習時間は限られますので、2次試験に関連する主要3科目を中心に学習計画を立てました。
その結果、2次試験の学習を進める上で知識を補充する必要が無くなり、効率的に学習を進めることができました。
学習の効率化という点において、科目の優先順位を明確にするという事は非常に大事なことですので、意識しておいて下さい。
効率の良い学習科目順を掘り下げている記事もご用意しておりますので、こちらも併せてご確認いただければと思います。
中小企業診断士の試験対策を効率よく行うための科目順や勉強法とは?
ポイント②:総学習時間の最大化
「総学習時間の最大化」とは、一般的に言われている合格に必要な総学習時間1,000時間を超えるように学習計画を立て、可能な限り上積みするように努力を重ねることを意味します。
結果として筆者は1,300時間程度の学習時間となりましたが、試験に対して余裕を感じることは最後までありませんでした。
独学で学習を進めるということは、テキストを読んで問題演習を行うというプロセスをひたすらに繰り返すことであり、場合によっては非効率的に進めることにもなります。
筆者が1,300時間の学習時間を経ても余裕が持てなかったのは、独学ゆえに非効率的な進め方となっていた部分もあろうかと思います。
そこで、非効率的な部分をカバーするために総学習時間を増やそうと考えたのです。
独学で学習を進める方は、中小企業診断士試験を正しく分析し、適正な資源(時間)配分で進めるように注意する必要があります
無駄な努力は合格に結びつきませんし、独学であるが故に生じる非効率的な部分を認識しておいてください。
非効率的に学習が進むという前提に立って、学習プランを構築する必要があると思います。
最後に:確実に合格を勝ち取るためにすべきこと!
今回の記事は、独学で学習を進めている方、進めようとしている方を対象に書いてみました。
結論としては、1年間独学で取り組むことで試験に合格することは可能です。現に筆者がそうやって合格しましたから。
ただし、相当の負担を強いられるという現実も覚悟する必要があります。
私自身、合格していたから良かったものの、不合格となっていたらテンションを変えずに翌年の受験に挑めていたかというと自信がありませんし、もしかしたら心が折れてリタイアしていたかもしれません。
1年間の独学で合格した筆者が思うことは、
ということです。
独学で短期合格を実現するためには、学習カリキュラムや適切な時間配分を自分で行いつつ、非効率的な面があることを想定して学習時間を余分に確保するということが求められます。
相当ハードですし、結果が報われるとも限りません。
お伝えしたいことは、現実的かつ確実に合格を勝ち取る戦略で取り組むことが重要だということです。
途中でリタイアしてしまうような、無理な計画を立てるのは非常に危険です。
短期集中型プランで挑んだ結果、1年で燃え尽きてしまうのと、2~3年間学習を継続して合格を勝ち取るのとでは、時間がかかっても合格する方に価値があることに疑いの余地はありません。
短期集中型プランを採用できる環境にある方は、ひたすら頑張ってください。
ただ、そういう環境にない方は、現実的な学習プランを立てながら、効率性を高めてくれる学習ツールを活用した方が良い結果がもたらされると思います。
通信講座を利用するというのもひとつの手ですし、当サイトで推しているスタディングは非常に優れた講座です。
過去問が1次7年分・2次10年分ついてくる点や業界最安値の受講料、フルカラーでわかりやすいWEBテキストなどかなり魅力がある講座です。
その他、スマートフォンを使ってスキマ時間に学習時間を積み重ねられる点や、学習実績のログを管理してくれる点も良いですね。
2023年度試験の合格実績も、1次試験510名、2次試験247名と申し分ありません。
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なお、当サイトでは1年(一発)で合格する方法、2年で合格するための戦略、3年で合格するための戦略をそれぞれ別記事で用意しておりますので、こちらもぜひ参考にしてみてください!
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