中小企業診断士は経営コンサルタント唯一の国家資格と言われています。
そんな中小企業診断士は、近年ビジネスマンが取得したい資格ランキングの中でも毎回上位に位置しており、多くの方の注目を集めている資格であるといえます。
このように人気のある中小企業診断士ですが、実は弁護士や公認会計士のような独占業務がないことから、「食えない資格」ということで「足の裏の米粒」と揶揄されたりもします。
とはいえ、中小企業診断士を取得するための学習を通して企業経営にかかわる知識や思考力を身につけることができますので、たとえ独立を目指していない人であっても、資格を取得することによって実務に直結する能力として役立てることができるでしょう。
では、中小企業診断士資格保持者を求めている会社は実際にどのくらいあるのでしょうか?
個人的な肌感覚ではありますが、「従前の会社に所属したまま資格取得で得た能力を生かして仕事をしている」や「独立した」などの情報は適度に耳にしますが、「中小企業診断士取得をきっかけに転職した」という情報は実はあまり聞こえてきません。
そんなわけで今回は、中小企業診断士保持者を求めている求人がどのくらいあるのかを調べてみました。
これから資格取得をし、就職・転職を考えておられる方は是非参考にして下さい!
中小企業診断士の求人情報検索方法
まず求人情報検索方法ですが、今回は転職サイトランキングで上位に位置する以下の3サイトを活用して調査を行いました。
で、上記3サイトのフリーワード検索等で「中小企業診断士」と入力して検索した結果は以下の通りです。(2020年8月現在)
私的にはいくらなんでも200件ずつくらいは出てくるだろうと踏んでいたのですが、予想の半分にも達していませんでした。。
では、実際の求人内容にはどのようなものがあるのでしょうか。
次項からは実際の求人例を見ていきましょう。
中小企業診断士の実際の求人例
ここからは具体的な求人例を見ていきたいと思います。
なお、上記に挙げたリクナビNEXT、マイナビ転職、dodaからそれぞれ2件ずつ特徴的な求人をピックアップしています。
リクナビNEXTの求人例
会社情報 | 中小税理士法人 |
業務内容 | 法人・個人事業主を対象とした、税務・会計業務及び会計コンサルタント業務 |
経験・資格 | 資格不問(公認会計士、行政書士、中小企業診断士、司法書士、社会保険労務士の資格取得を目指す方歓迎) |
給与 | 20万円~40万円 |
勤務時間 | 9:00~18:00(うち休憩時間60分) |
福利厚生 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/交通費支給/育児休業/介護休業 |
休日等 | 完全週休2日制 |
会社情報 | 医療経営者向けコンサルティング会社 |
業務内容 | 医療経営者向けにスタッフ教育や集客向上など、課題解決型のコンサルティング |
経験・資格 | (下記いずれかの方は歓迎) 営業経験者(メンバーの9割は営業出身) 中小企業診断士資格をお持ちの方 セミナー講師経験者(分野不問) |
給与 | 40万円~ |
勤務時間 | 10:00~19:00(うち休憩時間60分) |
福利厚生 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/企業型確定拠出年金/社外セミナー補助金 |
休日等 | 完全週休2日制 |
マイナビ転職の求人例
会社情報 | 大手コンサルティングファーム |
業務内容 | クライアント企業への業務改革の構想立案や実行計画策定の支援 |
経験・資格 | 情報処理技術者 SAP・Oracleなどのベンダー系資格 簿記(2級以上) 中小企業診断士など歓迎 |
給与 | 年俸制 600万円~1,000万円 |
勤務時間 | 裁量労働制(1日あたりのみなし労働時間7時間) |
福利厚生 | 健康保険/介護保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/企業年金基金/退職金制度/総合福祉団定期保険/財形貯蓄制度/定期健康診断/保養施設利用補助/カフェテリアプラン/企業内保育園 |
休日等 | 土曜、日曜、祝日 |
会社情報 | 地方商工会連合会 |
業務内容 | 商工会運営にかかる事務処理、地域商工業者の相談指導補助業務など |
経験・資格 | 簿記検定3級以上必須 (下記資格ある方歓迎) 中小企業診断士 司法書士 行政書士 社会保険労務士 FP |
給与 | 大卒 19万円以上 |
勤務時間 | 8:30~17:30(うち休憩時間60分) |
福利厚生 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/資格取得支援制度/共済制度/退職金制度/メンタルヘルス相談 |
休日等 | 完全週休2日制 |
dodaの求人例
会社情報 | 中小コンサルティングファーム |
業務内容 | 金融機関と連携した中小企業の事業承継や企業成長を支援する企画の提案・運営 |
経験・資格 | (活かせるスキル・経験) ○企画・マーケティングの経験 ○税理士・公認会計士 ○中小企業診断士 ○MBA |
給与 | 23万円~ |
勤務時間 | 9:00~18:00(うち休憩時間60分) |
福利厚生 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/交通費支給/インセンティブ/役職手当/資格取得支援/社員持ち株会/産前産後休暇/育児休暇/育児短時間勤務制度 |
休日等 | 完全週休2日制 |
会社情報 | 地方銀行 |
業務内容 | 法人営業業務または、専門業務(M&A/ストラクチャードファイナンス) |
経験・資格 | ・金融業界での個人・法人営業経験必須 (歓迎する資格) ・中小企業診断士 ・FP1級 |
給与 | 25万円~65万円 |
勤務時間 | フレックスタイム制 8:30~17:10のなかで標準7時間40分 |
福利厚生 | 健康保険/厚生年金/雇用保険/労災保険/厚生年金基金/保養所/社宅/通勤手当/時間外勤務手当/退職金制度/住宅資金融資制度/行員持株会制度 |
休日等 | 完全週休2日制 |
例から見える中小企業診断士への求人
ここまで各求人サイトから6件の求人情報を挙げてみました。
事業内容としてはコンサルティングファーム、税理士法人、銀行、商工会議所とどれも企業経営に直接かかわってくる仕事ですので、中小企業診断士を目指す方々が求める仕事とマッチしているようにも見えます。
恐らく中小企業診断士取得を目指して学習する内容は、これらの求人例で求められている事業に従事する際には大いに役立つと思われます。
一方で、「経験・資格」に焦点を当ててみると、これらの求人はいずれの求人も「中小企業診断士は歓迎資格であり、必須資格とはしていない」ということが分かります。
この結果だけを見ると、中小企業診断士を取得することによる転職や就職へのメリットは少ないようにも思えます。
しかし、独占業務がない中小企業診断士を歓迎資格として入れているということは、その資格を持っている人材にある程度の能力があるとみなされていると考えられます。
これらの求人情報から、以下のようなことが読み解けるかと思います。
- 転職や就職でコンサルティング業務に挑戦すること自体は、中小企業診断士資格を持っていなくても可能
- 資格を持っていることが転職市場における強力な武器になる
中小企業診断士の求人情報まとめ
この記事では「中小企業診断士保持者を求めている求人がどのくらいあるのか?」という疑問に対し、求人サイトなどの情報をもとに解説してきました。
前述の通り、経営コンサルタントとしての仕事を行うために中小企業診断士資格は必須ではないながらも、資格保持者に対するニーズは確実に存在しているということが分かりました。
また、中小企業診断士は専門性が高い資格でありながらも、弁護士や公認会計士のように資格の存在を知っている方が少ないことなどから、求人数自体はあまり多くない印象でしたが、コンサルティングファームや税理士法人のように実際に資格の勉強を生かせる仕事は世の中に多く存在しています。
当然のことながら、どんな企業であっても経営に対する問題や課題を常に抱えています。
それらを解決するための存在である中小企業診断士は転職や就職市場でも必要とされるものなのでしょう。
「転職や就職において中小企業診断士を取得することのメリットが分からない」と思われている方も、ぜひ中小企業診断士資格を取得することで、強力な武器を持って転職や就職に挑戦することをお勧めいたします。