皆さんご存知かもしれませんが、中小企業診断士は資格取得後も更新が必要な資格で、登録有効期間は5年間となっております。
そのため、資格取得後も引き続き中小企業診断士としての登録を希望する場合には、5年ごとに更新登録申請を行う必要があります。
そして、更新登録申請を行うためには、「新しい知識の補充に関する要件」と「実務要件」という、2つの要件を満たしていなければなりません。
「実務要件」とは、中小企業に対する診断・助言業務、または実務補習の受講のいずれかを5年間で30日以上実施もしくは受講することを指します。
つまり、自分が担当した企業の社長に押印をもらうことによって、申請者が実際に中小企業診断士の仕事をしているのだということを証明することが要件となります。
そして、今回はもう一つの要件である「新しい知識の補充に関する要件」を満たすために実施する理論政策更新研修について解説したいと思います。
受ける事によって得られるメリットについても解説しておりますので、是非最後までご覧下さい!
理論政策更新研修とは?
繰り返しとなりますが、理論政策更新研修は「新しい知識の補充に関する要件」として実施する研修です。
こちらは、資格更新のために登録有効期間5年間で5回修了することが必要条件となります。
理論政策更新研修以外にも「新しい知識の補充に関する要件」を満たすためには「指定されたテーマに沿った論文を提出する」という方法もありますが、ご存知の通り論文執筆には多大な時間を要するため、ほとんどの人は理論政策更新研修を選択することとなるでしょう。
つまり、中小企業診断士資格を更新したい人にとって「新しい知識の補充に関する要件」を満たすためには、理論政策更新研修の受講がほぼ必須であると言えます。
理論政策更新研修の内容
令和2年度は以下の内容で研修が実施される予定となっております。
もしかしたら研修実施機関によって多少の違いはあるかもしれませんが、概ねこのくらいの時間と金額になっていることがほとんどです。
上記の通りテーマが様々あるため、自分の興味に沿ったテーマに合わせて各地区で行われる研修を選択することになります。
なお、テーマ1の「新しい中小企業政策について」はすべての研修で実施されています。
この形式は数年間の中で変わっていません。
研修実施機関
理論政策更新研修は中小企業診断協会が実施するもの以外にも、様々な民間機関に委託されております。
令和元年度の実施期間は以下の通りでしたので、参考までに載せておきますね。
※それぞれ機関名をクリックすれば公式のホームページに飛べます。
研修を受講するメリット
理論政策更新研修を受講する目的は、中小企業診断士の資格を更新するためです。
しかしながら、資格更新だけにとどまらずいくつかメリットがありますので、そちらを紹介させていただきます。
専門家の話を聞くことによって知識のリバイスができる
受講者が企業内診断士である場合などは、資格取得後に中小企業診断士としての学習があまりできないことが多いと思われます。
そのため、実際に各方面で活躍している専門家講師のお話を聞くことによって、中小企業経営などに関する知識をリバイスすることが可能となります。
こうして知識を風化させないというのは結構重要ですよね。
中小企業診断士としての実務に役立つ内容であることが多い
当然のことながら、理論政策更新研修はすでに中小企業診断士の資格を取得している人に向けた研修となりますので、資格を取得するために実施した学習に加えて、最近のトレンドや環境変化なども踏まえた実務に役立てる研修内容が多く含まれております。
残念ながら、研修テーマによっては受講時間のほとんどが一方的に話を聞くだけの座学で終わってしまうこともありますが、そのような内容であったとしても決してそこで得た情報は無駄にはならず、その後の実務に役立てるものであることがほとんどですので、前向きに受講するようにしましょう。
実務実施へのモチベーションを上げる
これも企業内診断士の方に多いメリットです。
企業内診断士の場合、普段から中小企業診断士としての実務を実施する機会が少ないため、中小企業診断士としての活動にモチベーションが下がり気味なことが多いと考えられます。
そのため、個人差はありつつも日常業務から離れて理論政策更新研修を受講することによって、中小企業診断士としての実務を実施するモチベーションを高めるきっかけになります。
自分の活動の幅を超えた人脈を形成する
これは理論政策更新研修に限った話ではありませんが、中小企業診断士の資格は取得することによって、それまでになかったような人脈を広げることが可能になります。
一般企業で普通に会社員をやっているだけでは恐らく出会うことがないような分野の方々にもお会いして、名刺交換などをする機会も増えるでしょう。
もちろんそれは理論政策更新研修も例外ではなく、受講の際に先輩診断士や講師と交流を深めることによって、幅広い人脈を築くことが可能になるでしょう。
留意点
上記の通り、メリットが多い理論政策更新研修ではありますが、研修テーマの選択や実際に受講をするにあたり、いくつか留意しておくべき内容もあります。
順番に見ていきましょう。
興味のある内容を選択する
当然のことながら、テーマは自分が興味のあるものを選択しましょう。
上述の通り、研修テーマによっては一方的に講師の話を聞くだけのものもあります。
もちろん、研修を受講する主目的は資格を更新することではありますが、興味のない内容を4時間座って聞くだけになるよりも興味の深い分野に沿って学習するほうが自分自身の実務にも生かしやすいと思われます。
そのため、必ず自分にとって興味のあるテーマを選択するようにしましょう。
委託研修機関も検討する(口コミなども確認する)
上述の通り、理論政策更新研修は中小企業診断協会以外にもいくつかの民間企業へ実施委託が為されています。
実際に受講した方々の多くは、中小企業診断協会よりも民間が実施する研修の方が「内容が工夫されていて面白い」などの声を良く耳にします。
ですので、必ず申し込みを進める前に受講者の口コミなどをチェックしましょう。
これも委託先機関などのwebページ等では受講者の声が公表されていることが多いですので、しっかりと確認し、受講する研修テーマが自分の興味と合致するものかどうか、ただの座学に終わってしまう研修ではないか、などをチェックしてから申し込みを進めるようにしましょう。
まとめ
ここまで理論政策更新研修について解説をさせていただきました。
理論政策更新研修は、中小企業診断士の資格を保持し続けるための要件であるだけではなく、実務従事と同じくらい非常に重要なものです。
中小企業診断士資格を保持していないコンサルタントであれば、理論政策更新研修で得られるような情報は自分自身のアンテナで得ていかなければならず、その情報収集にかける労力は決して少なくありません。
そのため、中小企業診断士として理論政策更新研修を受講できることは、資格を保持していない一般の経営コンサルタントと比較しても大きな特権であると言えるでしょう。
中小企業診断士として大きな活躍ができるようになるためには、資格取得までに実施する学習や実務従事だけではなく、理論政策更新研修を通して得た情報や知識を活用することが大いに役立ちます。
そのため、資格を取得した後もこれらの研修を受講する際には、ぜひ前向きに取り組んでいくことにしましょう。